9月20日「本能に従えば・・・」

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朝晩は涼しくなり、秋らしい日が続いています。秋といえば食欲の秋で、ダイエットが一番難
しい季節かもしれませんね。こんな季節に「食べない人たち」という本の題名が新聞広告で目
につき、信じられない思いで購入してみました。しかし本を読んでみますと、食べなくても生
きていていけることが異常のことではないように感じてきました。
近年私たちの多くは、医学的な裏付けに基づいた食生活を意識するようになり、必要量や必要
な食べ物も、それを根拠に摂取することが増えてきました。テレビなどで食物が紹介される場
合にも、「~の効能があるのでお勧め」という文句が多いように思います。しかし、このよう
に食べる量や食べる物を頭で考えるようになった分、感覚的なもの、つまり本能はないがしろ
にされてきたように思います。私は日頃から患者さんに、決められた食事の時間やこれだけ食
べなくてはという意識によって無理に食べる必要はなく、本当に食べたいと思う時に食べたい
物を食べてくださいとお話しています。こういいますと、体にいいとされる食生活から外れて
しまうのではないかと思われるかもしれません。しかし、何がいいかは本人の本能が一番良く
知っています。漢方を飲み始めますと、飲めたお酒が飲めなくなったり、冷たいものを受け付
けなくなることが良くありますが、これは漢方がその人の本能を目覚めさせ、その人にとって
本当にいいものが選択できるようになったからではないかと思います。つまり、本にも書いて
ありましたが、頭で考えるのではなく、体に問いかける習慣をつけることで、自然と体にいい
方向へ向かうと思います。食べない人たちはこのようにして食べずに生きるという結果になっ
たのであって決して無理はしていないそうです。
食べずに生きることは科学的には不可能かもしれませんが、漢方の理論からすれば非常に合理
的な生き方だと思います。漢方では食物を摂取すると、気の作用によって精気に変えられ、そ
れが血や体液等に変えられるとされていますが、この本の人たちのように直接気を体に取り込
めば、食物を精気に変えるための気を消耗する必要がありません。超省エネの体ですね。人間
は本能に従えばこんなに柔軟性を持てるのだから無理に型にはめてはいけない、漢方において
も柔軟な対応が如何に大切かを教えてくれる本でした。